奈央ちゃんにパシン、と肩を叩かれたけど笑い返す気力もないくらい。

今朝はどうにも気分をあげられなかった。



「はよー、漆島」

「おはよ、九折くん」



気分があがらないのは教室に入ってからも同じで。

私のとなりに座った九折くんに、笑顔を返すことができない。



「あれ、なんか今日は体調悪そうだな?」

「いや、ただ雨が嫌いなだけだよ」

「あー、そういうことね。今日はけっこう降ってるもんな」

「んー」



ふうっ、とため息をつきながら机にぴったりと頬をつける。

じめじめした教室の中が熱いから、ひんやりとした机が気持ちいい。