顔だけ中を覗いていたからかな、気持ち悪かったのかもしれない。

「ご、ごめんなさいっ」

タタタタッ

私は慌てて、全速力で走って逃げ出した。

足には自信がある。たとえ俊足の先輩が怒って、追いかけてきても逃げのびれるくらい。

ひえーバレちゃったよー。恥ずかしすぎる。

裸を見ちゃったこと、怒ってないかな。

諦めよう、あきらめなきゃ。

朝練してる彼をストーカーするのは、もう潔く、諦めよう。

今度は、

のぞき見するのは、昼練にしようかな。

満面の笑みを浮かべて、跳ねるように走っていた。

これが、私が高校に入学したばかりの4月のことだった。