「逃げたりしません、私。逃げません、きっと私つばさ先輩の傍にずっといますから」

大谷さんの目を見てきっぱりと宣言して、ちょっとだけ爽快な気分だった。

もちろん、すぐに死ぬほど恥ずかしい気持ちが襲ってきたけれど。

だって、先輩が大好きなんだもん。私の気持ちがいい加減なものだなんて思われたくないよ。

大谷さんは、へえって驚いたように片方の眉をあげた。

私の顔が、火照っているのがわかる。

つばさ先輩の手も一瞬びくっとしたような気がして恐る恐る彼を見たら、ちょっとはにかんだように、笑いかけてくれた。

「あ、ありがと」