決勝戦のその日、私は沙織ちゃんと学校の生徒達の大応援団の中にいた。

ここは、県立体育館で今日は高校バスケインターハイの地区大会の決勝戦が行われる場所だ。

「すずなちゃん、いよいよだね。なんだか興奮してきちゃうよね」

「沙織ちゃん、どうしょう、私は緊張しちゃって、もうちゃんと最後まで見ていられないかもしれない」

周りの声が騒がしく、私の声が小さかったのもあり沙織ちゃんは、エッという顔をする。

私は、もう一度沙織ちゃんの耳元で「緊張する」と言って笑った。

沙織ちゃんは、私の手をぎゅっと握ってくれて、元気づけるように優しく笑ってくれた。

沙織ちゃん、なんて優しい素敵な友達なんだろう、本当に私なんかには、もったいないくらい。