その会場の、あまりの迫力に圧倒されていたけど、つばさ先輩を見た途端、私の方が心臓がドクンドクンと鳴り、緊張してきて、試合がまともに見れないくらいだった。

今日の対戦相手は県内でもトップレベルの高校で、今日が事実上の決勝戦だって時田君からは聞いていた。

自分のことのように先輩のことが心配で仕方がなかった。だけど、彼の実力は私の想像をはるかに超えていた。

「ほらちゃんと見ないと、すずなちゃんはつばさ先輩の彼女なんだよ、しっかり見といてあげなきゃね」

「うん、ありがと、沙織ちゃん」

先輩は、試合が始まって早々、3ポイントシュートを決めたようだったけれど、動きが早すぎて、わからなかったくらいだ。

この前までの試合の時に比べて先輩の動きが全然違う。多分対戦相手のレベルが上がっているからだろう。