本当によかった、あれは過去のことだもん。

中学の陸上部でのことは、全て過去のこと、もう私の今の現実じゃない。

時計を見たら夜中の3時だった。

「先輩、ありがとう」

私はスマホをギュッと抱きしめる。先輩を思うだけで、心が落ち着くんだ。

でもどうして、またあんな夢を急に見てしまったんだろう。

この前、久しぶりに思い切り走ったからだろうか。

あの感覚を思い出したからだろうか。

私の中の閉じた夢の蓋(ふた)が、開きかけているのを感じて、背筋がゾクッとした。