結局、こんなことしか言えなかった。

「先輩」

彼女は、ポケットからハンカチをだして俺の口元にあてた。

さっき水を吹き出したから、あちこち濡れていた。

そして手も綺麗に拭いてくれる。

桜がさっき拭いていたように俺の胸にもハンカチを優しくおしあててそのまま下へ移動し腹のあたりでピタッと止まる。

ちょっとこの先は、さすがに下にいくのはヤバイよなと思ったら彼女は、意を決したようにハンカチをそのまま下へと移動させたので、俺はあわてて彼女から離れた。

「あ、ありがと。もうこのくらいでいいから」

「先輩。好きです。私の方が、ずっと大好きです」

「あ、ああ、うん」

「好きです、先輩」

彼女は、今にも泣きそうな顔をしながら愛の言葉を口にする。