「どういうこと?」
なんだか煮え切らない態度に疑問を覚える。
「俺たち付き合ってなかったの?」
「えぇぇ!?」
予想外中の予想外。
まさかの、私たち付き合ってた!!!??
「前に告った時、いいよって言われたからいいのかと思って」
「い、いつ?」
ツッコミ所が多すぎて、上手く反応できない。
「去年くらい?
お前、返事したあとすぐ寝たからもしかしてとは思ってたけど」
寝ぼけてたのか私!!!???
え?てことはつまり私が気にするよりもずっと前から付き合えてたってこと?
私が変なジレンマ抱えなくても問題なく付き合ってたってこと!?
私が今まで考えてた、恋人らしいあんなことやこんなこと、余裕で出来たってことなのか...。
「もー!今までの時間取り戻したい!!」
「悪い、確認しとけば良かったよな」
「いや、悪いのは私だし、いいんだけど!!」
こんな時でも優しい真人にまたキュンとしながらも、私はやっぱりショック。
「こんなことなら、もっと早く付き合っとけばよかった。
伝えればよかった。
たくさん思い出、作れたのに」
前を向くと、真っ暗な夜空には色とりどりの光の花。
目に映る景色がとっても綺麗で。
恋を自覚した時よりも、鮮やかで眩しくて温かい。
これからの毎日がこんなふうに見えるんだと思うと、涙が出てくる。
「なんで泣いてんの」
「嬉しくて」
「そっか」
どこが好きとか、どれくらい好きとか。
そんなこと、うまく言えない。
気付いたら好きになってて、手放せなくなってた。
今までよりもいい景色を、今までよりも近い距離で一緒に見れることが、どうしようもなく嬉しい。
「なぁ、美海」
「ん?」
花火を見ていた視界が唐突に暗くなる。
すぐに、目の前にあるものが真人の顔だとわかった。
途端、目を閉じた真人の唇が、私の唇と重なる。
一瞬何が起こったか分からなくて、目を見開くと 奥には綺麗な花火。
その花火が、だんだんと滲んでいく。
「美海、幸せにするよ」
唇を離して、にんまりと笑いながらそう言う真人。
もう、無駄にキュンキュンさせやがって。
「うるさい!大好きだよバカ!!」
私は、真人の後ろ首を掴んで無理やり引き寄せ、口付けをした。

