「今の、友達?」



我慢出来なくなって聞いた。

嫌な返事が来ないように、祈りながら。



「あぁ、隣のクラスのやつ。
変だけど、面白いやつだよ。」


「ふーん」



ホッとしてしまった。


私は真人の何物でもないのに。


ただの、幼馴染なのに。


その関係がどうしようもなくもどかしい。


一丁前に嫉妬なんてできないし、堂々と隣を歩けない。



「花火、行こっか」


「うん」



この関係に、何と名前をつけられるだろう。



「混んでるね」


「前の方で見るのは無理そうだな、ここで立って見よう。空いてるし、お前も見えやすいだろ?」



幼馴染?友達以上恋人未満?


嫌だなぁ、物足りない。


私は──



「ねぇ、真人」


「ん?」



私はね──



「真人の、恋人になりたい」


「は?」



真っ直ぐにこちらを向く真人の視線が怖くて、つい俯く。



「なんで急に?って思うのはわかってる。
本当は、もっとちゃんとした時に言うのかもしれない。

でも、ずっと思ってた」



自分にとって、嫌な返事。


それが今にも頭の上から降ってきそうで、自然と早口になってしまう。


引いてる?引いてるよね。


だって、こんなムードのないところで言ってるんだから。


真人の話を切って言ってるんだから。


突然すぎるし。



「あぁ、うん」


「え?」



予想外に、緊張感のない声が帰ってきて、思わず顔を見るために上を向く。



「いや、なんて言うか...、今更?って感じで」



今更?