「...ありがと」
「どういたしまして。」
無事 絆創膏を貼り終えた真人は、下駄を吐き終えた私の足の膝を軽くペちっと叩いて、
「今度からすぐ言えよ、そうやって我慢されると困る。」
「うう、ごめん...。まさか気づかれてるとは思わなくて。」
ふざけて言ってるとはわかっていても、迷惑をかけたことに変わりはないし、何も言えない。
「バカ。
気づくよ、そりゃ。
どんだけ見てると思ってんだよ」
「え?
それって──」
どういう意味?
そう聞こうとして口を開いた瞬間、脳天気な声が私たちの間をすり抜けていった。
「おーい!黒沢くーん!」
声のした方を向くと、見たことがない女の子がこっちに向かって手を振っている。
「あ、須藤」
...スドウ、さん?
.........誰!?
「お久しぶり、黒沢くん!」
「あぁ、最近会ってなかったもんな」
元気そうな女の子。
一緒にいる連れの女の子もすごく可愛い。
「あ、もしかして黒沢くん、この人があの時言ってた?」
会話に混じることも出来ず、静かに2人の会話を聞いていると、元気そうな女の子が私の方を向いて真人に意味ありげに微笑んだ。
「あぁ、そうだよ」
そのよく分からない女の子の問いかけに対して、真人も意味ありげに微笑み返す。
2人って...どういう関係?
話したこともない女の子に向かって、真人の彼女でもない私がそんなこともない。
「こら珠希(タマキ)、連れの人が困ってるでしょ。
私たちそろそろ場所取りしなきゃ」
ずっと黙っていた子が、元気そうな女の子に向かって言う。
「あ、そうだった!
じゃあね、黒沢くん!」
「あぁ」
またこちらに手を振って女の子2人は花火の見やすい方へ歩いていった。

