「おい!」



声とともにガシッと両肩を掴まれて、咄嗟に恐怖にビクリと身体を揺らす。



「ま、真人...?」


「あ、悪い...」



驚いて身体を揺らし、涙を流している私を見て、真人はすぐに謝った。



「私こそごめん、ちょっとびっくりしちゃって。」


「戻ってくるの、遅かったから。」



あぁ、汗だ。

真人の首筋に汗が見える。



──探してくれたんだ。




冷たくなっていた心が、どんどん温かくなっていくのを感じる。



「ごめん、真人、すぐに戻ってこなくて」


「いいよ、ほら貸せよ、右手のそれ」



右手?


真人に言われて見た自分の右手には、絆創膏があった。



「靴擦れしたんだろ?別に隠さなくても気づいてたよ」


「えっ!?」



言いながら真人は私の前にしゃがむ。



「ほら、足出して」


「あっ、いや、いいよ!
く、臭いし!!」



ようやく真人がしようとしていることを理解した私は、慌てて足を引っ込める。



「ふはっ、んなもん気にすんなって。
ほら、早くしないとまた花火見えなくなるぞ?」



私の言葉で笑う真人。

優しいな、真人は。

なんでそんなに優しいのよ。

普通、友達の、しかも女子の足なんて触りたくないでしょう?



「う、うん...」



花火が見れなくなるのは悲しい。


今日を、ずっと楽しみにしてたから。



「あんまり触んないでね?」


「だから、気にすんなって」



私の素足を取って、私が痛くならないようにそっと絆創膏を貼ってくれる。


触り方が時々優しすぎてくすぐったかった。