やらかした...。
家から歩いて15分足らずの花火大会の会場に行っただけで靴擦れなんて。昔はしなかったのに。
歩いてる時も、ちょっと痛いな~とは思ってたけど!ここまで酷い痛みになるなんて...。
「ごめん真人、ちょっとここで待ってて貰える?」
「いいけど、なんで?」
靴擦れしたから絆創膏貼りたいけど、浴衣着てて貼りにくいから貼ってる姿を人に見られないようにトイレに行きたい。
なんて地味に恥ずかしくて言えない。
「ちょっと...、友達と会う約束してて!
すぐ終わるだろうから、あんまり人がいないここら辺にいて欲しくて。」
苦しいかな?とはちょっと思ったけど。
私の脳みそはこれが限界。
「...いいよ、行ってきな」
少し迷ってから真人はそう言って頷いてくれた。
「ありがと!行ってくる!」
靴擦れがそろそろ限界。
痛いけど走れもしなくて、痛くならないように気を使いながら早歩きでトイレに向かうと、恐ろしい情景が私を待っていた。
...こ、混んでる...。
そこに居たのは、人、人、人。
とりあえず人ばかり。
これ、どれくらい待たされるんだろう。
並んで一刻も早く真人の所に戻りたいのに、立ってるだけでも靴擦れがズキズキと痛む。
このままにして戻っても、きっと痛すぎて真人の話とかまともに聞けないし、私も話せない。
とりあえず、近くの座れるようなところに座って絆創膏が貼れるか試してみる。
生憎そこは椅子のようになっていて、帯のせいで足先になかなか届かない。
あーあ、なんで私こうなんだろう。
こうなることがわかってたら、家で先に貼っておくことだって出来たのに。
ポタッ
静かに落ちたのは私の目から生まれてきた涙。
落ちたところからじんわりと広がっていく水の跡。
それを見つめながら、次から次に涙を零す。
靴擦れが痛いからなのか、心が痛いからなのか、はたまた両方なのか、もう訳が分からない。
このまま泣いてたって、どうにもならないのだけはわかってる。
でも、ここから無理して戻ったとして、呆れて真人が帰っていたとしたら?
悲しくてその場で泣き出してしまうかもしれない。
大声で、泣き叫んでしまうかもしれない。
もし待っててくれたとして、そのまま歩き始めても、痛くて私は何も出来ない。
どうすればいい?
最善の行動が、何もわからない。

