目当てのブツは有る家には在るし、無い家には無い。って当たり前か。何でもそうか。

なので目についた家を虱潰しに探す事にした。

玄関に触ってみて開けば捜索、開かなければ次の家へ行くと決めてまずは一軒目のお宅訪問。

ガチャ……開いた。

「すいませーん。誰かいませんかー。借り物競争で『生きた人間』を探してるんですけどー」

声を掛けて耳を澄ます。

…………無音。

人間もゾンビもいないと判断し中へ入る。

神経を研ぎ澄ましながら慎重に探索するが、外やショッピングモールの様に開けた場所と違い死角が多くメッチャ緊張する。

息をするのも躊躇われるような時間がジリジリと過ぎたが、結局この家からは見つからなかった。

次行ってみよう。

……結果七軒目で見つかった。七軒も探さなければならなかった。心身共にめちゃくちゃ疲れた。

ブツとついでに見つけたオマケをそこらにあったビニールの買い物袋に入れて、提げながら自転車を漕いで再びショッピングモールへ。

もうこれで最後だと意識して、自転車はわざと駐輪場ではないそこら辺に打ち捨てる。

ここ数日の運動不足と足りてない食事と栄養、そして今日のこれまでのあれこれでもうクタクタだ。

だがあと少し。

あと少しだけ頑張ろう。

人生の最後ぐらいはやり遂げて成功して笑ってやるのだ。

俺はふらつく足を踏み締めて屋上駐車場を目指し階段を登った。