彼は、反対側に居た。
彼が少し、横を見た。

美しく、通った鼻筋。
少し切れ長のけだるげな目。
薄いくちびる。
細いあごのライン。

何ということだ! 私は空前絶後の美少年を見たのだ!
美しい!
美しい!
美しすぎる!

しばらく私は凝視していた。
こんな人が実在するなんて!

そして電車は私の前を通過し、私は華麗に遅刻した。

「お、遅れてすみません!」

「倉島、珍しいな。気をつけろよ」

「ごめんなさい。美少年が、美少年が、あまりに美しかったのですから!」

先生は呆れていた。