結局、例の先生は遊びだったとあっさり白状し、詩織の夏は終わった。


詩織以外は浮いた話もなく、相変わらず3人でつるんでは言いたいことを言い合った。


年末年始はそれぞれ実家へ帰り、年明け最初の出勤日、工場長から新年度の辞令を渡された。


3人で一斉に紙を開いたら、


「昴は、大阪支店かあ」


「まあ、大阪出身だし、いいんじゃない」


「詩織は、横浜の店舗研修だね」


「詩織も実家から通えるってことやな」


「で、恵は・・・大阪工場?」


「だね・・・って、なんで?」


「さあ、なんでやろな」


「ちょっと、これおかしくない?」


「私、なんかやらかしたかな・・・」


「まあええやん、大阪支店と大阪工場、わりと近いで」


「なんの慰めにもなってないし!


なんで私だけ工場勤務なわけ?」


「まあまあ、メグの愚痴はいつでも聞いてやるから、安心しいや」


「そうだよ恵、東京本社の最前線で3人で一緒に働こうって、それまで希望を出し続けようって言ってたでしょ」


「そりゃあ、まあ、そうですけど」


「大阪は新潟とは違うで、がんばりや」