駅へ近づくにつれて、涙がこぼれそうになり風景がにじんだ。


私やっぱり、昴が好きなんだ。


今さら気づくなんて、ほんとにバカだな私。


でも、もう戻れない。


私には裕和がいるから。


週末には引っ越して、来週末からは同棲始めるんだし。


昴は、ただの同期だと思いこむんだ。


昴への想いは、最後の恋だ。


最後の恋は、きっと、おばあちゃんになるまで覚えてる。


裕和にも一生、言わない。


っていうか、言えるわけない。


別の人を好きなまま同棲して、そのまま結婚するなんて。



週末に引っ越しをすませ、翌週には裕和も引っ越しして、無事に何事もなく日々は流れた。


昴も、表面上は前と変わらず接してくれた。


周囲も、私たちに何かあったなんて気づいてないはず。


同棲を始めたことも、昴と詩織以外は知らなかったし。


だけど、私は気づいていた。


昴が前みたいに、私を構わなくなったことに。


必要以上のことを、話さなくなったことに。


例の「付箋の女の子」が、昴のそばにいる気配に。


そして、昴のことを今でも好きなままの、自分に。