「手伝ってくれなくていいからね」


「手伝うか、ボケ」


「そういえば、さっきさ・・・」


付箋の女の子のことを言いかけて、やめた。


「なんや、言いかけてやめんなや」


「なんでもない」


ふたりで紹興酒を飲みまくった。


ふたりとも、何かから逃げるように飲んでいた。


「そろそろ帰ろうや」


店を出て大通りに出たら、昴は明らかにふらついていた。


「昴、タクシーで帰ろう」


昴を奥に押しこむようにタクシーに乗り、寝られたら動かせないから、必死で昴に話しかけた。


「ね、最近、女の子から付箋もらったでしょ?」


「付箋・・・あー、もらったかもしれへん」


「年下でしょ、かわいいの?」


「そうでもないな」


「一度ゆっくり会ってみればいいのに」


「そうやな・・・メグ、俺眠いんやけど」


「ちょっと待って、もうすぐ着くからがんばってよ」


「メグ、俺の隣におる?」


「いるよ」


タクシーが昴のアパートに着き、抱えるようにして部屋に連れていった。


「昴、重いっ・・・」


かろうじてベッドにのせ、一気に疲れが押しよせた。


「もう、昴のせいで、酔いが冷めちゃったじゃん」


デコピンしようと手を伸ばしたら、昴が私の手をつかんで引き寄せた。


「ひゃあっ」


ベッドに横たわる昴の顔が、すぐ目の前にある。


ベッドサイドでひざまずく私が、昴を見おろしている。