同期以上、彼氏未満

「おごってもらうために、そこで待ってたの?」


「そうやで」


「しょーがないな、なに食べたい?」


「寿司!」


「却下」


「焼肉!」


「あのねー」


「冗談や、メグの行きたいとこでええで」


昴は、いつもそうだ。


最終的には、私の食べたいものを優先してくれた。


「じゃ、定食屋さんにしよっと」


「珍しいな、俺に合わせてくれたん?」


「それもあるけど、私も好きだから」


「好みも似てるんやから、相性バッチリなはずなんやけどな」


「それは当たってるかも」


「せやろ?」


「うん、同期で友達で、これ以上ピッタリの人はいないしね」


「俺としては、もう一歩も二歩も近づいて欲しいんやけどな」


「それは無理!」


そんなことを話しながら店内に入り、カウンターに座った。


「いらっしゃいませ、何にします?」


「「アジフライ定食!」」


ふたりでハモって注文した。


「仲いいのね、お似合いよ。


アジフライふたつね!」


「おばちゃんすげーな、俺たちのこと見抜いたやんか」


「お愛想でしょ」


「俺らふたりが醸し出す雰囲気がそう思わせてしまうんやろなー」


「はーい、アジフライお待たせ!」


「いっただきまーす」


子どもみたいな屈託のない笑顔で箸をもつ昴は、すごく嬉しそうだった。