「浦野くん、ちょっといい?」


「かまへんけど」


昴は、新潟工場の女子社員に呼ばれ、女子の輪の中に入っていった。


黄色い声に囲まれて、ヘラヘラ笑ってる昴を見たら、ちょっとイラついた。


そんな自分が、イヤになった。


お開きになり、部屋へ戻ろうとしたら、


「メグ、ちょい待ってや」


昴に呼び止められた。


「なに?」


「なんか不機嫌やな、どないしたん?」


「なんもないし」


「メグがそう言う時は、なんかある時やろ。


もしかして、モテてる俺のこと見て、妬いてるんか?」


「そんなわけないじゃん!」


「素直にならへんと、損するで」


「もう何よ、用があるなら早く言ってよ」


「明日のことやけどな、三浦たちが車出してくれるんやて」


三浦くんは、新潟工場で私たち3人に指導してくれた人だ。


高卒で入社してるから、同級生だけど仕事上は先輩だ。


「そうなんだ、よかった」


「昼飯食べたら、迎えに来てくれるって言うてたから」


「わかった、ありがと」


「行きたいとこ、考えときや」


「食べたいものばっかりで、悩むなあ」


「メグはほんま、色気より食い気やな」


「そんなことないし!」


「冗談や、メグは女らしくてかわいいで」


ほな、と昴は手を振りながら部屋へ帰っていった。