詩織のノロケ話は早々に終わり、私がプロポーズされた話が延々と続いた。


詩織は、とにかく何らかの返事をするべきだ、と譲らず。


昴は、私の気持ちが決まるまで待ってほしい、って裕和に猶予をもらうべきだ、と言った。


「男の立場から言わせてもらえばやな、プロポーズは一生に何度も言うことやないんやで。


男のプライドとか、そういうんをもう少し考えてほしいんや」


「恵、本社に来たばっかりだし、今はまだ結婚したくないってこと?


でもさ、結婚しても仕事やめるわけじゃないなら、須川さんも10月に本社くるかもしれないんだし、仕事のことは結婚とは別問題だと思うんだけどな」


「えっ、須川さん本社へ異動になるんか?」


「うん、恵と離れたくなくて、異動願い出したんだって」


「本気なんやな」


「愛されてんだよ、恵は」


ふたりの話を聞きながら、考えてみた。


私は、何から逃げてるんだろう。


あまりにも急に、裕和が結婚に向かって行動したから、ついていけないんだろうか。


「なんかね、結婚するなんて想像もしてなかったから、どうしたらいいのかわかんなくて。


ふたりともごめん、裕和とちゃんと話すよ」


「まあ、俺ら外野の意見なんか気にすんなや。


須川さんとメグ、ふたりの問題やから」