昴が差し出したスマホの画面をのぞきこむと、


『新潟工場 新規ライン開始のお知らせ』


というタイトルのメールと、詳細が書いてあった。


「いま新潟では作ってない製品を、一部大阪から移管するらしいわ。


新潟と大阪で工場経験者の俺とメグが、案内役で付き添うってとこちゃうかな」


「えー、なんにも聞いてないけど?


なんで昴は知ってんの?」


「知ってるっつうか、そうしたらいいんちゃいますか、って課長に進言しといたんや」


「は、なんでそんな余計なこと言うの!」


「ええやんか、新潟久しぶりやろ?


懐かしいメンツもおるやろ」


「そりゃあ、まあ、そうだけど・・・」


「楽しみやなー、出張金曜にして、週末遊ぶっちゅうのはどうや?」


「ご自由にどうぞ、私は帰るけど」


「んな、冷たいこと言うなや・・・って、メグ、指輪どしたん?」


「あー、裕和にもらったの」


「そうなんや」


じゃあまたな、って昴はデスクに戻っていった。


もう、なんで勝手なことするかな。


昔から、昴はそうだった。


遊びの計画を立てるのはいつも昴で、しかもそれが当たって楽しいから、頼ってばかりいた。


妹ふたりを連れまわすお兄ちゃんみたいだった。