「昴、そんなにすごかったんだ」


「そうだよ、センスあるんだよな」


「・・・そろそろ寝よっか、おやすみ」


「ああ、おやすみ」


昴の話題をふたりでしたくなくて、無理やり話を終わらせた。


裕和に腕枕してもらいながら、これからのことを考えた。


右手薬指の指輪には、まだ違和感があった。


なんか、指になじまないというか。


指輪に慣れた頃には、裕和と結婚するって決められるんだろうか。


裕和との結婚を意識したことはあったけれど、きっとその時、裕和は意識してなかったんだろう。


大阪と東京で物理的に離れたことで、私の中では結婚っていう単語は消されてしまったんだと思う。


それが突然あらわれたから、とまどってるだけだ。


翌朝、朝食をすませてから部屋に戻ると、


「恵、せかすつもりないけど、いい返事待ってるから」


裕和は、私を抱きしめながら言った。


「うん、わかった」


何もわかってなかったけど、そう返事するしかなかった。


東京へ戻り、また自宅近くまで送ってくれた。


明日は、裕和が大阪へ戻る日だ。


「じゃあ、また明日な」


「送ってくれてありがとう、気をつけてね」