「前向きに考えてくれよな」


「えっ、あ、うん」


「東京行くのは、早くても10月だと思う」


「わかった」


「夏休み、こっちで部屋探しするから、恵も予定あけといて」


「どこがいいんだろうね」


「そうだな、まずは会社への距離が優先だな」


それから、いろいろ場所について話したけど。


突然すぎるプロポーズに、動揺しまくりだった。


だって、裕和に結婚する気なんてないって思ってたから。


ホテルに戻り夕飯をすませ、広いお風呂に入って、部屋で軽く飲んだ。


ほろ酔いのまま、裕和に抱かれた。


いつ以来だろう。


東京に来る前に、裕和の部屋へ行った日以来かもしれない。


「恵、少し痩せたな」


「そうかな?」


「仕事、大変なのか?」


「うーん、まあ、わからないことだらけだから」


「俺、たぶん商品管理部門に配属されると思うんだけど、本社はフリーアドレスなんだろ?」


「うん、そうだよ」


「偶然近くのデスクになって、恵の仕事ぶりを見てみたい」


「今はまだ、たいしたことしてないよ」


「浦野と一緒の部署なんだろ?」


「うん」


「浦野、大阪でいくつかヒット出してるからな。


支店長が東京本社への異動をよく許したと思うよ」