その一週間後。渋谷駅前の忠犬ハチ公像。ハチ公に背を向けるようにして、純花は立っていた。清楚な印象の半袖ワンピースをまとっている。彼女に少し遅れて、東条が人ごみから姿を現した。彼らの今日の予定はデートだ。
「待ったか?」
「いえ」
「ワンピース、似合ってる」
「ありがとう、嬉しい」
純花が従順に≪待った?待ってない≫に始まる、待ち合わせデートのテンプレ会話を消化していれば、東条はさも不思議そうに首を傾げた。