といいつつ寝れなくなっちゃうほど繊細では
なかったらしい
ほら、結構頑張って働いてしまって疲れてたから

変に自分と誰かに言い訳しつつ
少しだけ…少しだけ早く会社に着いた


そして、誰もきてないフロアの中に
昨日不在だった啓太の席で
主を見つけて 思わずにっこりしてしまう

「おはよう 斉藤くん 早いのね
これ良かったらどうぞ
よかったら使ってね」

出勤途中にテイクアウトしてきた
コーヒー入りのタンブラーを手渡す

「おはよう ありがとう
これ仕分けしてあるから」

にっこり笑って
タンブラーを机に置いて
書類の束を渡してくるので
「ありがとう」と受け取ったら
手を離してくれないので
ん?と思って書類から顔をあげると
色気だだ漏れの目で見つめられてるわ
重なった手の甲を撫でられてる

さりげなく言葉がオフィスモードじゃないなとは
思ったけど、なかなかに攻められてるので
会社だということも忘れて
「…ん」って、変な声でちゃうよね

斉藤くんはその声に目を見開いて
「今か…いや…間に合わない」とか口走ってるし

そして目に力を込めて
「今日であっちのチーム終わらせてきます」と
タンブラーを携えて、足早に去っていく
彼の後ろ姿を見送りつつ

「ええ、無理しないでね」という言葉が
届いたかどうか…