「――芹沢は、俺と離れたくないの?」
「うん」
「俺と話せなくなるの、嫌?」
「嫌だ」
「昔はあんなにそうしてほしかったのに?」
「……」
「それはもういいか。――芹沢は、俺と話すの楽しい?」
「楽しい」
「俺といるの、楽しい?」
「うん」
「付き合いは長いけど、一緒にいた時間は多くないよ? 俺、実はすごく嫌なやつかも」
「でもきっと楽しい」
「ふたりきりで飯をしたこともないのに? だって芹沢周りを気にしすぎるから出来なかった」
「うぅっ……」
「これからは、そういうのも誘っていい?」
「喜んで」
「なんで、俺の駅で降りたの?」
「だって、このままじゃ昔みたいにっ」
「うん。なったかもしれない」
「そんなの嫌で」
「芹沢は、俺を手放したくなかった?」
「て……ばなし……たく、ない……?」
「ははっ。そこで退行するのかっ。小学生みたいだね」
「……失礼な。私だって成長してる」
「なら、もう少し成長して、俺との縁を切りたくない理由を、いつか報告よろしく。なるべく早くで」
「承った」
「それで、俺のほうの結論と擦り合わせて、同じだったら……」
「だったら?」
「俺とのことより周りを優先させ続けた芹沢に、長年の俺の恨み辛みをお仕置きがてらその身にわからせるから」
「な……長年ってどれほどの? 最初からそんなに?」
「それは俺もわからないなあ。気づいたらそうだったとしか。十数年かもしれないし、たった二年か三年かもしれない」



