「大丈夫だよ。そのうち声も出るようになるから」


そうなの?


「お母さん、少しいいですか?」


お母さんと医師は病室を出ていった。


陽姫、どうして?


私、本当に特別だったのに。


、、、はぁ。


こんなふうに考えていても仕方ない。


少し、外に出よう。


病室を出てラウンジに行く。


ここ、入院棟なんだ。


カフェテリアとか、ないかな?


そう思って一度来た道をもどろうと振り返った。


「君、昨日の夜運ばれて来た子?」


色素の薄い茶髪、ふんわりとした髪に垂れ目の持ち主。


たぶん、私のことだ。


私、運ばれて来たんだ。



『そうだよ』


肯定を示すその言葉を口に出したいのに、


出てこない。


こんなにもムズムズしたのは久しぶりだ。