つなげば星座になるように

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ミニコンは、大成功。

…だったんだけど、入部希望の学生の多くは、王子がいないことがわかると、あっという間にいなくなってしまった。

それでも何人かは興味を持って部員になってくれて、歌葉部も少しにぎやかになった感じ。

今はミニコンのアンケートの集計をしている。

その内容が、


“問3.日常会話レベルで修得している言語を全て書いてください”

“問8.多言語きらきら星で聞き取れた単語を全て書いてください”


「うさみん先輩、絶対に研究に使う気だ…」


その、マイペースっぷりに笑ってしまう。


窓から入る風が気持ちいい。

目を閉じて深呼吸をすると、ミニコンの、あの熱を思い出す。

本当に、この大学に来れてよかったって思う。


「…結衣、キミはまだ日本語が不自由なのか?僕の話、聞いてる?」

「きゃあ!」


突然降ってきた声に驚く。

全く気づいていなかった。


「……あ、あれ?王子、いつからいたの?」

「“アーサー”」

「……あ、アーサー…」


名前を呼んだだけで、うれしそうに笑う。

それが、とてもうれしくて、私も笑う。



「結衣、その…、そろそろ言葉で欲しい」



あの夜から、一生懸命考えた。

考えた結果がこの2文字だった。


私は、再び瞳を閉じて、深呼吸する。

そして、ゆっくり目を開き、彼を見つめる。


たった、2文字の言葉なのに、とても勇気がいる。

でも、不思議。

たった2文字の言葉なのに……



「スキ」



ほら、

こんなにも胸に響くのだ。


☆FIN☆