「それにしても、何にもないところだね」

「そうっスね」

「……家でも作ろうか? このままだと寒いし」

「それなら、俺に任せてください」

「え?」

ライは咲いていた一輪の花を摘み、何もない平野に向かって飛ばした。

「《フィアット》」

その花はキラリと輝き、平野に落ちた瞬間、ぐんぐん伸びて、大きな塔を作り出した。

「すごいね! ここでも、魔法は使えるんだ」

「そうみたいっス。さ、登りましょう」

「うん」