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「………はぁ…。寝たくない」

夢から覚めた優奈は、今日もいつもの日常を過ごしていた。

いつも通りに学校へ行き、勉強して、ご飯を食べて……

「…あの後私はどうなるのよ…」


夢の事が気になり過ぎて、優奈はその日、まともに授業が聞けなかった。


どんなに悩んでも夜はやってくる。
そして人は眠たくなってくる。

優奈も例外なくその1人だった。


(夢の続き見たくない…寝たいけど、眠りたくない)

悶々と格闘している中、携帯が震えた。

(……え?…何で…)

画面の通知を見るとそこには悟の名前が表記されていた。

「……っ!!」

優奈は慌ててアプリを開く。

『元気?今時間ある?』

優奈は速攻返事を返した。

『どうしたの?珍しいね、こんな時間に』

『ん…何か元気なさそうだったから。この前。気になって』

『大丈夫だよ、夢の件でちょっと不安になってただけ』

この前、というワードが入っているが、まるで今の自分を慰めてくれているのではないか、と都合よく解釈してしまう。

『あんまり気にするなよ』

『うん!ありがとう!悟!優しいね~』

もう少し話を聞いて欲しい
けれど
悟に甘えすぎてうざいと思わたくない

優奈は気持ちを抑え、文字では気丈に振る舞うことにした。

少し間が空いた後、悟から返事がきた。


『夢だろうが何だろうが、俺がお前を守ってやる』

『だから早く寝ろ』

『今度また話聞かせろ』

「……ぇ!」

優奈は顔を一気に主に染めると、携帯の画面に何度も食いつき、読み直す。

「っ…さ、さとるぅ……」

優奈の心拍数は跳ね上がり、そのまま身体も飛んでいきそうになった。

告白まがいな文章が書かれており、優奈の心は飽和していた。

(……無事に帰ってこれたら…悟にきちんと伝えよう…)

『ありがとう…悟。今度、話聞いて欲しい』

『おう、何でも話せ』

『悟と話してたら安心してきた。眠れそう』

『よかった、いっぱい寝ろ。寝ないと疲れるぞ』

『うん!おやすみ…悟。また今度ね!』

『おやすみ』

優奈は携帯を堪らず抱き締めた。

(悟……私、頑張るよ)

夢の世界なんかに負けない

でもね

悟…貴方がライナだったら…

良かったのになぁ…


優奈は瞼を静かに閉じ、ゆっくり眠の世界へと落ちていった。