肩の力がフッと抜けた気がした…

「先輩は…先輩はそれでいいの?それで幸せですか?」

優しい暖かい腕が包んでくれる

「ともちゃんがいて、新しい家族が出来る…それ以上の幸せは無いよ…」

張り積めていたものが溢れ出す

あたしは子供みたいに声をあげて泣いた

大きな先輩の胸で

「あたし…自分で…思ったより…我が儘…で…嫉妬深くて…自分では…何にも…出来ない…甘ったれだよ?」

涙を堪えながら途切れ途切れに 言った

「そんなの俺も一緒。でも…ともちゃんはもっと甘えて良いんだよ…言いたいことも一人で解決しないでもっとぶつけて良いんだよ」

優しくさすってくれる背中が暖かい

こんなあたしで良いのかな?

「俺は…どんなともちゃんも好きだよ。みっともなく会社休んで会いに来ちゃうくらいね」

そういえば…

今日はまだ金曜日

あたしのせいで…ううん…あたしの為に休んでまで来てくれたんだね

二人で顔を見合わせてクスっと笑った

「ともちゃん、二人で幸せになろう」

そっとあたしの手をとった

「これ…」

あたしの薬指には手作り特有の アジのあるシルバーリングがはめられた

「手作り…正真正銘の世界でたった1つのリングだよ」

そう言って自分の左手を掲げた

お揃いのちょっと太めのリングが光っていた

「今度ちゃんとしたのあげるから今はこれで…」

恥ずかしそうに笑う先輩が可愛かった

「ううん…これが良い…」

世界でたった一組だけのリング…

どんなに光輝くダイヤモンドでも代わりは出来ない

先輩との繋がり…

「結婚しよう」

聞けると思っていなかったプロポーズの言葉

もう迷わない

答えは…




「はい」