ガチャ

着いたのはアパートの一室だった

「入って」

腕を引かれるまま奥の部屋に入った

「あのっ…」

先輩の背中に声を掛けたが返事は帰ってこなかった

「適当に座ってて」

言われるまま、その場に座った

見たことのある服や大学の教材

ここは先輩の部屋みたいだ

「はい。どうぞ」

キッチンから戻ってきたのか先輩はマグカップを2つ持ちあたしの隣に座った

マグカップにはミルクたっぷりの紅茶が入っていた

「ありがとうございます」

カップを受け取り、一口含むと、ミルクの甘い味が口の中に広がった

「ごめんね。いきなりこんな所に連れてきて…」

あたしは首を振った

ちゃんと話さなかったのも逃げたのもあたし…

先輩は悪くない

「一週間もどこにいたの?」

ゆっくりとまた話始めた

「さっきの人のところにいたの?」

「え?」

先輩見てたんだ…

「はい…」

あたしはコクンと頷いた





短い沈黙が訪れる





「あの人は誰?ともちゃんとどういう関係なの?」

いつもの穏やかな先輩の口調とは違って強く責めるような言葉…

あたしは驚いてジッと先輩を見つめた