那智兄の車を見送り、慣れた道を歩き始めた

「ともちゃん!」

公園を出てすぐ誰かに声を掛けられ振り向いた

「…隆斗…先輩…」

会いたくて会いたくて仕方の無かった人の姿…

「な…んで…?」

偶然にしてはタイミングが良すぎる

あたしはまた走り出してしまった

逃げない…

逃げないって決めたけど…

まだもう少し勇気が足りない

向き合う勇気

伝える勇気…


「灯!」


パシッ

「逃げないで…!」

腕を掴まれ引き止められた


掴まれた腕が熱い…

一週間振りの先輩…一週間前も今も…逃げ出してしまった手前怖くて顔が見られない

「どこにいたの?心配したんだよ…」

優しい先輩の声…

「…ごめん…なさい…」

「連絡も取れないし…サークルにも学校にも来てないし…」

「…ごめん…なさい…」

ただ謝ることしか出来なかった

ハァ…

「ともちゃん、こっち向いて…怒ってるわけじゃないし、謝って欲しい訳じゃないんだよ」

溜め息をついて先輩は言った