冷たい指切り  ~窓越しの思い~

「おぉ!香里ねぇ、久しぶり。」

「和が帰って来ないって、おばちゃんが淋しがってたよ。
彼女??
和もデートする年になったんだぁ~」

「ちょっと、俺を幾つだと思ってるの?もうすぐ30だよ……。
こっちは、伊藤 千尋さん。大学生………。付き合ってる。
こっちは…」

「佐山香里です。和のママです。弱みはしっかり押さえてるから
今度ゆっくり教えてあげるね。」

クスクス笑って

「伊藤千尋です。大学に通ってます。和也さんとは合コンで出合いました。
よろしくお願いします。」

おいおい合コンって……。

まぁ、女子高生にオジサンと接点をもたせるウソは……

難しいよなぁ~

よく頑張ってくれてるよ。

「和、合コンなんて行ってるの??」

「樹に無理矢理付き合わされたんだよ。」

「あぁ!樹ね。
らしいねぇ~。アイツも教師になったんでしょう?
まさか、生徒に手を出してないでしょうね??
和、同じ仕事場でしょ?しっかり見張っておきなさいよ!!
ニュースに出たら、町中がおお恥だからね!!」

香里ねぇ、残念だが………もう手を出しているよ。

バレたら…………町中が大騒ぎだ。

まだクスクス笑っている彼女に

「千尋ちゃん、和のこと………お願いね。
この子、ちょっと口が悪くて無口で愛想がなくて短気で……
おまけに頑固でどうしようもないんだけど。
優しくて、淋しがりやなの。
だから………お願いね。」

「はい。和也さんは………とても温かい人で、尊敬してます。」

「だって~。和ちゃん良かったねぇ~。
デートの邪魔してごめんね。
和、たまには帰っておいで。家が嫌でも、ウチは大丈夫でしょ?
待ってるわよ。
千尋ちゃんも、一緒においでね。」

そういうと、登場した時と同じように………バタバタと帰って行った。

はぁ~。

「伊藤さん、ありがとう。話しを合わせてくれて。
女子高生ってバレたら、大騒ぎしそうだったから……………。
助かった。」

「いい人ですね。
先生にとって、大切なんだって分かりました。」

一緒にいたのが、伊藤さんで良かった。

「先生、今日はこのまま彼女設定でいますか?それともお兄ちゃん?
弟でもいいですよ!和ちゃん、こっちおいで~」

「だったら、お兄ちゃんにしましょうか?
協力してもらったお礼に、今度は俺が甘えさせますよ。」

「ヤッタァ!だったら和兄ちゃん、お腹すいたぁ!」

彼女の声に時間を確認するとお昼はとっくに過ぎていた。

確かに。

「美味しいものを食べに行こうか。」