困り顔の伊藤さん。

「伊藤さんは、どう思う??
樹の言うことは、メチャクチャだけど………
大学のことも含めて、伊藤さんにとって一番良いように思うんだけど……
無理にとは言わないけど……考えてみるのもいいと思うよ。」

「取りあえず、明日新しい部屋を見てみる?
ちなみに、はぁちゃんも同じマンションだから色々助けてくれるよ。
はぁちゃんって、スッゴく良い子なんだ!」

望月さんが良い子なのは、俺にもわかる。

だけど……

教師と生徒でっていうのは………やっぱり賛成出来ない。

「樹?…………ホントに望月さんと付き合っていくつもり??
卒業まで待つっていう…………選択肢はないの??」

正直、堂々としている樹はスゴいと思う。

ただ、俺達は教師だ。

生徒達を正しい道に導かなければならない。

自分の気持ちを優先して、望月さんが学校にいられなくなったら??

いくら清い付き合いだと言っても………証明するのは難しい。

「和君の言うことはわかるよ。
でも……好きになっちゃったんだよ。
昔、ムチャをした和君ならわかるよね?
ダメだと言われたからって、諦めることはできないよ。」

樹の言うことはわかる。

俺達はそうやって、ムチャをして来た。

まさか、注意する側になるとは………想像出来なかったけど。

「…………分かった。」

「和君、ありがとう。」

「でも、バレないように気をつけろよ。」

「もちろん、はぁちゃんのこと………大切だからね。」

無茶苦茶なことをしているけど………

もしかしたら、望月さんの気持ちを………一番大切にしている行動なのかもしれない。