冷たい指切り  ~窓越しの思い~

「わぁ!気持ち良い!」

「また倒れると困るから、あんまり調子に乗っちゃダメだぞ。」

俺の注意なんて耳に入らないらしく、おおはしゃぎだ。

「海なんて、何年ぶりだろう。
家族で行動しなくなってからだから………6.7年くらいかな?」

…………というと、10才くらいが最後かぁ~。

たぶん、他の事も経験してないんだろうな。

家族旅行や誕生日……色々あるけどなぁ~子供の思い出。

偶然だったけど……今日連れて来れて良かったよ。

自販機の前に行くとやっぱりカルピスをさす。

親鳥に刷り込まれたみたいだ。

期末が終われば夏休みの今、外は30℃をこえている。

「お~い。車に戻るよ~」

30歳を控える俺には、10代の頃の元気はない!

出来ることなら、1秒でも早くクーラーの効いた車に戻りたい。

「ええっ~!」

唇を尖らせて拗ねたってダメです。

「病み上がりが何言ってるの。
カルピスあげるから帰っておいで。」

助手席に座らせてカルピスを渡すと、一揆に半分近くまで飲み干した。

ほらみろ、暑かったくせに。

俺も運転席に座ると、クーラーを自分に向けて涼みながら

コーラを一揆飲みする。

「あぁ~。生き返る。」

「先生、ズルいよ~。自分だけクーラーかかって!!」

文句言いながらも、『先生』って呼ぶあたりが可愛い。

「大人なんてそんなもんだよ。
だんだんズルくなっていくの。伊藤さんはそのままな気もするけどね。」

「いつまでも子供ってこと??」

「違う違う。
いつまでも、純粋なままでいてくれそうな気がする。」

「純粋!?
言われたことないよ!!
その言葉は、お姉ちゃんのものだから。」

今日もまた……姉ちゃんにコンプレックスを持つ彼女が顔を出す。

「俺は、お姉ちゃんを知らないからだけど……
俺から見たら『純粋』って言葉は、伊藤さんにピッタリだと思うよ。」

「やっぱりズルい………。」

そういうと、下を向いて赤い顔を隠した。

ほらねっ!!