「...俺とアイツは、水原(みはら)中出身なんだ」


わたしが困惑した表情を浮かべていたからか、

彼はわたしが気になっていることを教えてくれるかのようにゆっくりと口を開いて告げた。


「水原...って、隣の県の...?」


「そう」


水原とは、わたしたちが今住んでいる県の、隣の県の地名だった。


「俺は親の転勤で中学卒業とともにこっちに引っ越してきた。

アイツとはそれよりももっと前から絶縁していたから、

アイツが入学式で代表のあいさつをしていて...

心臓が止まるくらい、びっくりしたよ」


そのときのことを思い出したかのように、ハッと笑った彼。


決して目は笑っていなかった。