まったく“信じられない”といった様子のわたしを、洸は小さなため息をついたと思ったら、
手首は解放してくれたものの、そのまま体をしずめてきた。
「こ、洸......!?」
「...手は出さねえって決めてたけど...」
すぐそばで吐息を感じる。
それだけで酔ってしまいそうで。
「今日のお前、すげえ可愛いし...我慢できねえ......」
熱っぽい瞳で見つめられて、まばたきするのも忘れてしまった。
ささやくような甘い甘い言葉に、全身の力が抜けてしまい......。
洸はまだ少し濡れているわたしの目元にゆっくりとその熱い唇を落とした。
わたしは思わず目を閉じてしまうことでしか反応できなかった。
目元から離れた唇は、前髪が横を向いていることで露になっている額に移って...
それから熱を帯びている頬に移って......。
チュッ、チュッ...と短くも優しいキスを繰り返されて、わたしはいずれこの先、洸にすべてを奪われてしまう気がした。
唇には触れてこない唇に、あろうことかもどかしさを感じてしまう自分がいた......。