最初から、こういうことが目的だったのかも。
そう思うと止まっていたはずの涙がまたジワリと視界をゆがませた。
だってわたしは洸の本性を知る女だ。
きっと、そういう意味で都合のいいように扱われているんだーー
「お前をからかったことなんて、一度もない」
起き上がろうと抵抗するわたしをピタリと止めたのは、
洸のそのまっすぐな一言だった。
洸は思わずと言ったようにわたしの手首をつかむ力が少し強まった。
「......え?」
なに...言ってるの?
洸が言った言葉を精一杯思い出して、頭のなかで並べてみる。
「本気だって言ってんだ」
まだ並べきれてないのに更に追加されて、脳内がパニックに陥る。
「補習の初日から...今だって。ずっと本気なんだよ」
「...っ」
見たことないくらい真剣な瞳で見つめられて、息をするのも忘れてしまった。
なにそれ...。わたしの“思い違い”じゃないってこと...?
でも、そんなはずない。
だって、わたしと洸は、ひとつも接点がなかったのに...。
平民なわたしは王子様の洸を入学当初からずっと見てきた。
だけど反対に、王子様が平民に本気になるなんて、そんなこと...。



