「そ、そう言うんだったら離れてよ...」
だってそうでしょう?
こんなのおかしい。
だって、さっきよりも距離が近くなってる。
距離なんて一ミリもないじゃないか。
全然、なだめになってないよ。
むしろ、さっきよりもわたしの鼓動は速くなってる。
抱き締めるぬくもりと力強さだけでどうにかなってしまいそうで、
そうなる前に自分から離れなきゃ。
手をよじらせて洸の胸板を手のひらで押したけど、そんなのまったく意味なかった。
「もう一度言う。悪いけど、それは無理だ」
洸はそうだけ言って、いまだ洸の胸板にあるわたしの手首を捕まえると、
そのあとはもう糸も簡単にわたしの上に彼はいた。
あっという間にぽすん、とベッドに着地したわたしの背中。
経験のないわたしでも、これはさすがに緊急事態だと認識する。
キケンすぎる。



