「な、なにって...」
出てきた答えなんて、言えるわけない。
きっとわたしの思い違いだ。
だけど...洸がわたしの好物を知っている理由が、ほかに見当たらなかった。
わたしと洸はこの補習がきっかけで関わり始めたはずなのに、
洸は、それより前からわたしのことをーー...?
「晴香」
目線を落としてグルングルン考えを巡らせていたから、目の前に洸がやってきたことに気づかなかった。
「きゃああっ」
驚いて腰を抜かしてしまうわたし。
そんなわたしを洸は妖艶にふっと笑った。
「そんな意識されると...俺もその気になるんだけど?」
じわじわ、まるで逃がさないかのように詰め寄ってくる彼。
「な...、な...っ」
その気ってなんなの...。
いったいどの気よ...。
「は、離れて...!」
あまりにキケンな香りがして、後ずさるけどそんな距離あっという間に埋められてしまう。
「それは無理だな?」
「こここっちのほうがよっぽど無理だから...っ!」
「べつになにもしてねえだろ?」
そう言いながらさらに顔を近づけてくる。
茶色い髪の毛がわたしの頭にサラリと触れた。
綺麗すぎる顔がすぐ目の前にあって、
その茶色い瞳に今すぐ吸い込まれそうでわたしはすぐさま顔を背けた。
なにもしてないって...洸からしたらそうなのかもしれないけど、わたしからしたらもうキャパオーバーなんだよう。
「晴香」
甘くささやかれて鼓膜が溶けそうになる。
「...っ」
こうなったら、もう、無視だ。
反応をしちゃだめ!!
「...あのさ、足だけ伸ばしてくんねえ?」
わたしの名のあとに続いた言葉に、それがどういう意味かすぐには理解できなかった。
「スカートの中が丸見えなんだよな?
俺の理性がどうにかなりそうなんだけど?」
「ッ!?」
わたしは勢いよく足を伸ばした。



