「どうぞ?」
扉を開け、先に入るように誘導される。
「う、うん」
小さくうなずいておそらく洸の部屋に入る。
やっぱり、中も広い。こんなの、贅沢すぎる!!
洸も中に入ってパタンと扉を閉められたのと同時に、わたしはドギマギしてしまった。
だってふたりきりだよ。
学校じゃなくて、洸の家だよ。
洸の部屋だよ。
平常心でいるほうが難しいくらいだ。
「なに、緊張してんの?」
洸は学校での態度となんの変わりなく黒いオフィスチェアに腰かけその長い足を組んだ。
余裕そうにわたしを見据えてる。
「と、ところでいったいなんの用...っ?」
わたしは座ることなく立ったまま尋ねた。
なんか用事があるから呼んだんでしょう?
だって来たら教えるって言ってたし。
その用事を済ませてさっさと帰ろう。
そう思っていたのに。
「べつに用なんてねえよ?」
なんて思ってもみない答えが返って来た。
「...え?」
べつに?用は?ない?
「...はああ!?」
じゃあわたしはなんのために呼ばれたっていうの!?
意味わかんない!
「用がないなら帰ーー」
洸はわたしの瞳を逃がさないかのごとくじっと見つめて。
「学校以外でお前とふたりきりになりたかった。そんな理由じゃだめか?」
そんな甘美なセリフを恥ずかしげもなく並べる。
「...っ」
わたしはもうなにも言えなくなって、その場にちょこんと腰をおろした。
この人はいったいなにがしたい?
悔しいが洸が今座っているチェアがなんだか王子様のイスに見える気がしてきたのはきっといや間違いなくわたしの目がおかしいからだ。



