『道、迷ってんの?』
耳からケータイを離して時間を確認すると、10:15だった。
行こうか行かまいか15分も悩んでいたのか、わたしは。
「ま、迷うも何も...わたし、行かないって言ったよね...!?」
今こうしてマンションの真ん前にいるというのに、わたしの口はそんなことを言ってしまった。
だってやっぱり無理だ。
学校の(偽)王子の家に行くなんて。
わたしが行く筋合いなんてどこにもないじゃないか。
うん、やっぱり帰ろう!
そう思ってマンションに背を向けたーーそのとき。
『鈴木誠、鈴木誠です!
みなさん、どうぞ応援よろしくお願いします!』
目の前に選挙カーが走り去って云った。
『...晴香、お前もしかして、外にいんのかよ?』
「な、なんのこと...っ」
『今中の扉開けてやったから。はやくここまでおいで?』
「~っ...」
わたしはもう上がらずにはおえなくなった。



