「ま、とにかく。明日は10時だったよね」
「いやいや、なんで行く前提になってるの?行くわけないでしょ?」
「行きなよー!!大事な用かもしれないじゃん!!」
なんの用かはまったく検討がつかないけど、行ったところでまたなんか意地悪されそうで、やだ。
「まあ...気が向いたら」
紗由理が行くことを推してくるから口ではそう言ったけど、
ほんとは行く気なんてゼロだった。
...の、はずだったのに。
「晴香!!いつまで寝てるの!?今日デートなんでしょ!?」
翌朝、お母さんの耳を疑うような言葉に、わたしは驚いて起き上がった。
「紗由理ちゃんから聞いたわよ!あんた、学校の王子にいい寄られてるらしいじゃない!!」
「...。それ紗由理の冗談だから!!」
紗由理ってば、うちのお母さんになに吹き込んでんの!?
しかもお母さんは昨夜そんなこと言ってなかったし、今朝メッセージしたとか!?
わたしと紗由理は中学のときから一番の友達だから、
なにかあったときのためにお互いのお母さんの連絡先を交換しているのだ。