「晴香。土日の予定は?」
このあいだ洸が手伝ってくれたおかげで、17時ギリギリに完成できた体育レポート。
正直、かなり助かった。
上から目線だし意地悪だけど、ちゃんと優しいところもある...っぽい。
金曜日の帰り際に、そんな質問をされた。
「明日は友達と遊ぶけど、日曜日は暇だよ」
ただのいち会話だと思った。
だからありのままを答えた。
「じゃあ、日曜日の10時にココ、な」
「え?」
渡されたメモ。
そこに書かれたとある場所の住所。
“......505号室”
あきらかにどこかのマンションまたはアパートだろう。
「ココ、どこ?」
しかもいきなりなに?どういうつもり?
「俺の家」
サラリと告げられ、わたしは自分の耳を疑ってしまう。
「......はい?」
いやいやいやいや。
なんで?
「な、なんの用?」
「来たら教えてやるよ」
「先に言ってよ」
「じゃ、日曜日な?」
わたしの質問なんて無視して洸はカバンを持って去っていった。
「わ、わたし、行かないから...っ!!」
その大きな背中に投げた言葉はきっと届いたはずだ。
だから...行かなくてもいいはずだ。
というか、行かない。