「ん?...」


彼は教科書をわたしの机にトンと返すなり、

またもやわたしのカバンのなかに手を突っ込んできた。


「プッ。お前、そんなに王子様が好きなわけ?」


彼の手にはーー

わたしがカバンにしまったままにしていた小説、“隣の王子様★”、で。


「人のもの勝手にとらないで!!」


真っ赤になって取りかえそうとするけれど、

高くあげられて届かない。


真っ赤になってしまったのは、

“恥”もあるけれど当然“怒”のほうが正しい。


「この王子様って、まるで俺みたいじゃねえ?」


小説をペラペラとめくりながら言う。


「な、なに言ってるの?

全然ちがうから!!」