「...今日、泊まってくよな?」


唇がゆっくりと離れて、慣れないわたしは息があがっていると言うのに、洸はまったくそんな様子なくて。


急に気恥ずかしくなって洸の顔を見れないでいると、上からそんな言葉が降ってきて、自分の耳を疑った。


「と、泊まるって、どこに......」


「俺の家以外にどこがある?」


余裕そうに告げる洸に、わたしはますます理解できなくなる。


洸の家に...お泊まり!?


そんな急なことってある...!?


「俺がキスだけで満足できると思ってんの?」


「ッ!!」


反射的にカアアッと顔が赤くなる。


そ、そ、それって...!!


いやいやそんなの早すぎだよ!!


明日日本を出発してしまうからといって、

今日想いが通じあったばかりなのに...!!


さっきのキスは、わたしに合わせてくれていたのに...っ。


そう思って目を泳がせてしまっていると。


「なーんてな?」


フッと不敵に微笑む洸が目の前にいた。


「お前のこと、抱き締めて眠りたい」


そう告げて、額にチュッとキスを落として。


「...だめか?」


なんてまるで甘えたように顔をのぞきこんでくる。


そんなの...っそんなの反則すぎる...。


わたしはただただ顔を真っ赤にさせて、コクン...っとうなずくことしかできなかったーー。




この教室で、すべてが始まった。


はじめは理想の王子様が崩されて、すごくショックだったけど......


今はありのままの洸が、だれよりも一番大好き。


これからもずっと、わたしだけの王子様でいてね。



*end*