わたしは洸の胸のなかでゆっくりと話を聞いた。


たまらなくうれしかった。


洸が、自分のはなしをこんなにしてくれるなんて...。


わたしに心を開いてくれている証拠だと思った。


洸はいつも見えない透明の膜が張られているような気がしてた。


初日にわたしに本性を見せてくれたけど、それでも。

なにか線を引かれている気がしてた。


だから今、それがなくなって、それだけで...それだけで嬉しいのに...


「...今日の朝、お墓で眠る紲に、晴香のはなし、してきた」


「...わたし、の......?」


「本気で想える相手ができた...って」


心が震えた......。


思わず洸のシャツをぎゅ...っとにぎりしめた。


洸はゆっくりと体を少し離して、軽く抱き締めたまま、わたしと目線を合わせた。


洸の端正な顔が目の前にあって、思わずうつむいてしまいそうになるけれど、

絶対、目をそらしたくないと思った。


綺麗な茶色い瞳に、ほんとうに吸い込まれてしまうんじゃないかと思った。


トクントクンと心地よく鼓動は音を立てているけれど、

洸の綺麗な唇がゆっくりと開かれたときには、それは大きく波打った。


心臓の音、どうか鳴りやんで。


洸の声が、聞こえなくなるーー




「晴香が好きだ......」