「洸、いってらっしゃい!」
「洸、よく頑張ったな」
俺は荷物をまとめてーー15年間過ごしてきたこの家を、出た。
父さんが住むところを用意してくれた。
本当に、感謝しかない。
合格掲示板で自分の受験番号を目にしたときは、思わず涙が出た。嬉し涙だ。
紲が逝ってしまってから、初めて紲のこと以外で泣いた。それくらい嬉しかった。
そして俺は高校にて“完璧”を目指した。
紲がみんなに振る舞っていたように俺は先生やクラスメイトに振る舞った。
みんなが俺のまわりに集まってくれて、素直に嬉しかった。
中学では男子からはあまり好かれず、先生からは呆れられ、女子からは顔しか判断されなかった俺にたくさんの友達がいて、紲はきっと喜んでくれているだろう。



