「あなた!あなたっ!!しっかりして!!ねえ!あなた...っ!!」
その日の朝、1階から母さんの叫びに近いような声が聞こえてきた。
俺は驚いて急いで階段をかけおりた。
リビングには、1週間ぶりに見る、やつれた母さんと父さんがそこにはいた...。
「う...大丈夫だ...」
「だめよ、そんなふらふらなのに...!今日は仕事休みましょう...!?」
「今日は大事な取引があるんだ...」
俺は頭を鈍器で殴られたような気がした。
俺はひとり......いったいなにをやってるんだ。
俺は......どこまで馬鹿なんだ。
紲が助けてくれたこの命、一週間だって無駄にしてはいけないはずなのに。
紲のぶんまで、生きなければならないはずなのに。
部屋に閉じ籠ってる場合じゃない。
俺にはやるべきことがある。
今まで紲に任せっきりだったすべてのこと。
父さんも母さんも疲れきっている......
俺が......俺がしっかりしないと。
俺は決意した。
天国にいってしまった紲が安心できるように立派な人間になることを。
いつか俺が天国にいったとき、胸を張って紲に会えるように。
紲...
俺を助けてくれて...
ほんとうにありがとう。



